Just a friend

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私と拓実は友達だ。

たまに彼にナイショで飲みに行く。終電に遅れて朝4時まで一緒に飲んでも
もちろん拓実はサウナとかカプセルに泊まる。

ふざけたようにいつも
「はやく彼と別れて俺と付き合えよ」
と拓実は言うけれど
最近はどこまで本気なんだかわからない。

だから私も
「はやく彼女作りやー。」と返す事にしている。

彼と喧嘩してめそめそ泣きながら電話しても
根気よく付き合ってくれて
でも、絶対キツイひとことをくれる。

「おまえはそんな扱いしかされてないってことやで。」

「好きでつきおうてんねんから死ぬまでやっとけ、あほ。」

そして最後には
「そんなおまえが好きや。俺もあほや。」
といって大きな声で笑う。

そんな時私は、もう電話せんとこって思う。
拓実からの電話、もうとらんとこって思う。
でも、絶妙なタイミングで
まるで見てたみたいに辛いときに連絡が来るから
つい甘えてしまう。

もう何年か前、拓実が本気で私に決断を迫っていたとき

「うち、別れるのって嫌やねん。恐いねん。
せやから、そんな簡単にもう誰ともよう付き合わへん。」
って言ったら

「おまえはそんなんあるかいっていうかもしれんけど
別れない付き合いって言うのもあると思うで。
俺とお前はできるような気がするねん。」

って答えた拓実の顔、優しくて悲しくてひどく孤独に見えた。
その時、私は逆に拓実とは絶対このままでいようって決めた。

私たちはキスもしていない。
二人だけでカラオケに行っても何もない。
夜明けの路地を歩いても、手さえ繋いでいない。

拓実の考えている「別れない付き合い」とは
だいぶ違うかもしれないけれど

私たちは正真正銘の友達だ。
もう、きっと
ずっと。

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2001/09/06