Picture  3

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駅につくと待合室にぽつんとリョウが座ってるのが見えた。

「待っててくれたんだ・・・ありがとう。」
「よかった。どこへ行ったのかと思った。
あとを追いかけたのに2つ目の角を曲がったとこで
急に隠れてしまったから。・・・それ、なに?」
「うん・・・写真。」
「写真?」

それから私はさっきの出来事をリョウに話した。

「綺麗なひとだね。」
黙って話を聞いていたリョウが写真を見ながら言った。

「うん・・・。」
「この写真のひとも、あのひとのこと心配してるんだね、きっと。
ユキのお母さんもユキのこと心配してるよ。・・・お父さんのこともさ。」

「うん・・・。」

そんなことわかってるよ。
来年大学受験で、家を離れるかもしれないし
就職だってするし結婚だってきっとするし
私には私の人生が待ってる。
同じようにお父さんにもお父さんの人生が、これからだってある。
そんなこと、ずっと考えてきたんだよ、私だって。
でも、昨日は嫌だったんだもん。
本当に本当に嫌だったんだもん。

「話だけでも、聞いてあげなよ、ね。」

「もう、優等生の彼氏を持つとこれだからね。
家出もできないじゃん。
わかったよ、話だけでも聞いてあげることにするって。
話だけでも、だよ。」

私は泣きたくなったからできるだけ明るい声で言った。

「9時に最終が出るから、今日中には帰れるね。
家まで送っていくから。」
「うん・・。」

左手に持った紙袋はなんだかずっしりと重かったけれど
右手はリョウにしっかりと握られて温かく

私たちは手を繋いだまま改札を抜けた。

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2002/02/28