あの日から(HiRo 編)
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駅前の喫茶店で那美は待っていた。
「わたしも一緒に行く。」と那美は切り出した。
「ごめん、一人で行く。」
と僕は離婚届を差し出した。
那美は俯いて涙を零していた。
「何を今更。」そう思った僕は
無言で席を立つ。
「これで唯子にまた逢える。」
僕は喉仏の下、鎖骨の間のキスマークを触った。
「・・・したじゃない。」
声が聞こえて、唯子の手が僕の腕を掴んだ。
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気が付くと僕は唯子の墓の前に立っていて
麻奈が僕の腕を掴んでいた。そして、離れた
場所に那美が勇太の手をひいて立っていた。
「ねぇ、パパ。誰のお墓なの?」
「パパの命の恩人のお墓だよ。」
「ふ〜ん・・・。」
僕は7年半経ってようやく
唯子に手を合わせる事ができた。
そして、勇太をおんぶしながら
麻奈と並んで墓に向かって手を合わせる
那美の凛とした横顔を見ていたら
自然と涙が溢れていた。
「ぱぱ、どうしてないてるの?」
「・・・生きてまたママに逢えたからだよ。」
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作者 HiRo
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2005/07/12